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エレベーターホールまで来て和希がバランスを崩し、葵を抱えたまま倒れこむ。
「ふぎゃっ…」
廊下の床にお尻から落ちて葵が声を上げた。
和希からは解放されたが、立ち上がる力がなかった。
いつのまにか呼吸は普通に出来るようになっているが、膝から下の足の感覚が麻痺したように鈍い。
「てめーっ、何すんだよ…」
耳を押さえて和希がぼやく。
「それはこっちのセリフよっ。あんなところに満琉さん閉じ込めて、どういうつもりなの?!」
「だから、それはっ…」
和希が立ち上がろうとした時だった。
大きく硬い何かが倒されるような音が店から響いた。
沢山の足音や物音が立て続けに聞こえ、店に繋がる扉に何かがぶつかり出す。
「ヤベ…急ぐぞ」
和希が葵へと手を伸ばす。
それを振り払い、葵は和希を睨み上げた。
「イヤよ、満琉さんと行くっ」
「だーかーらっ、あの人はあそこで平気だって」
「どうしてわかるの?!」
「アイツらの狙いはあんた!あんたのところに来んだよっ」
「どうして言い切れるのよっ」
「狙いがあんただって知ってる!あんたを拐えって言われてるからだよ!」
「……え?」
ハッとして和希が口元を覆う。
知ってる?知ってた?
暁華と今も尚繋がっていると言うことなのか…
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