第7章 陽だまりの天使たち

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エレベーターホールまで来て和希がバランスを崩し、葵を抱えたまま倒れこむ。 「ふぎゃっ…」 廊下の床にお尻から落ちて葵が声を上げた。 和希からは解放されたが、立ち上がる力がなかった。 いつのまにか呼吸は普通に出来るようになっているが、膝から下の足の感覚が麻痺したように鈍い。 「てめーっ、何すんだよ…」 耳を押さえて和希がぼやく。 「それはこっちのセリフよっ。あんなところに満琉さん閉じ込めて、どういうつもりなの?!」 「だから、それはっ…」 和希が立ち上がろうとした時だった。 大きく硬い何かが倒されるような音が店から響いた。 沢山の足音や物音が立て続けに聞こえ、店に繋がる扉に何かがぶつかり出す。 「ヤベ…急ぐぞ」 和希が葵へと手を伸ばす。 それを振り払い、葵は和希を睨み上げた。 「イヤよ、満琉さんと行くっ」 「だーかーらっ、あの人はあそこで平気だって」 「どうしてわかるの?!」 「アイツらの狙いはあんた!あんたのところに来んだよっ」 「どうして言い切れるのよっ」 「狙いがあんただって知ってる!あんたを拐えって言われてるからだよ!」 「……え?」 ハッとして和希が口元を覆う。 知ってる?知ってた? 暁華と今も尚繋がっていると言うことなのか…     
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