第7章 陽だまりの天使たち

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「和希くん、こうなること知ってたの?祥吾さんと篠宮さんに何が起きるか知ってたって言うこと?」 バツの悪そうな顔をして、和希は黙り込んだ。 「解放を望まなかったのは、その為?」 扉が一層激しく音を立てる。 「…だからさ、あとで説明するって」 扉を気にかけながら和希は、葵の目の前にしゃがむ。 「ここは危ねーから、行こうぜ」 不安げな和希の瞳。 その不安はどこからくるのか… 自分を拐う為に今までここにいて、要を騙し通せてあと一歩で成せるところにいる。 祥吾と篠宮が行方不明になること。 要が元聖域に向かうこと。 ここの結界が消え、襲撃を受けること。 今ある危険は、計算尽くの罠…? なのに、なぜそんな不安げな目をするのか、葵には分からなかった。 バキバキっと背後で扉を壊される音がして、和希が青ざめた。 「マジやべぇ…」 振り返ると雪崩れ込む人の群れがあった。 その歩き方、一様に焦点のない目、鳴咽… とっさに和希が葵の体を肩の上へと抱え上げる。 「…やだっ」 がっちり太腿を押さえ込まれ、葵は悲鳴を上げる。 「変なところ触らないで!」 「仕方ねーだろっ」 葵に背中を叩かれながら和希は階段への扉を開ける。 「どうしてこんなことするのよ!」 「あんたを守るんだよ!!」 葵を抱えたまま階段を上がりながら、和希は声を張り上げた。     
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