第7章 陽だまりの天使たち

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【 反撃 】 切先を突きつけられても昂然と睨み上げる要に、暁華が舌打ちをする。 「貴様をあやつが許し、丸め込めたと思うたか…」 「いや…」 暁華に要は冷ややかに瞳を細める。 「それはない」 「結界の歪みは一時的、その間にあの女を連れ出すように命じてある。今頃、手の内であろう」 「そうであっても想定内のこと」 動じない要に苛立ちを覚えた暁華は、刀の物打ちを要の左頬へと滑らせる。 一筋赤い軌跡が刻まれ、白い肌に血が滴る。 「和希はお前の思うようには動かんぞ」 それでも眉一つ動かさない要に暁華は刀を振り上げた。 切先を右上腕へと突き立てる。 「…っ」 背後に浮く水球が揺らぎ、要は地面についた右手の爪を立て痛みを堪えた。 「あやつはな、心底貴様を恨んでいる。こうなること(・・・・・・)を望んでいるのだ」 噴き出す血液が腕を伝い、地面へと流れ、要は右手の指先が痺れていることに気づく。 (まだだ…もう少し) 切先を引き抜き、暁華はそこに付いた要の血に指先で触れた。 「…相良の家系は代々、西園寺の傘下にある。27年前、相良本家の一人娘が誘拐され、行方をくらませた」 「何のことだ…」     
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