第7章 陽だまりの天使たち

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要が話始めたことに、暁華は眉を潜める。 「訳あって6年前にその娘の捜索を相良から依頼された。見つけ出したのが…葵だ」 葵を見つけたきっかけ、その時から何かが動き出した。 壊れた時計の針が、時を刻み出すかのように… 「和希は、誘拐事件のあと6年後に産まれた相良の息子だよ」 「…相良、和希とあの女が」 「和希はオレを裏切っても葵は裏切らない」 血の繋がりを何より尊ぶ気質だからこそ、蒼麻が陣にしたことを許せないのだ。 「葵にとって最高の護衛だ」 ふっと要は口元に笑みを乗せる。 「…己れ(おのれ)」 怒りに唇を震わせ、暁華は刀を振り切った。 左肩口から要の身体を刃が走る。 「その首、斬り落としてくれる!」 続け様に暁華が刀を振り下ろした。 何者かがその腕に背後から飛びかかる。 隙を突いて要は低い姿勢から暁華の足元を払い、胸元に肩からぶつかった。 地面に背中を打ち付け、暁華が倒れこむ。 「篠宮の身体から出て貰おうか」 暁華の左腕を押さえ込むように膝をつき、要は左手のひらに己の血をつけた。 「巻きで頼むっ、抑えてられん!」 暁華の右手をホールドしながら祥吾が叫ぶ。 要は頷き、暁華の…篠宮の額に左手を当てた。 「天使えの名の下に…」     
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