第7章 陽だまりの天使たち

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「お前はそれ(・・)、どれくらいで治るの?」 上腕の傷も肩口の傷も致命傷ではないが、出血量が多い。 「5時間程ですね…」 失った血液は戻らないが、傷口は時間と共に勝手に癒える。 そろそろスローネの結界が復活し、闇人(やみびと)から闇が放れ、取り憑かれた人々は意識を失っているはず。 満琉の手配で西園寺から助けが入り、人々は保護されるであろう。 「ここへも西園寺の回収部隊が来ますよ。祥吾さんはそれまでここにいてください」 要はゆっくり上体を起こす。 軽く眩暈がするが、体は動く。 「おいおい、いてくださいってお前」 「オレは先に帰ります」 帰り道は自力での移動は無理だと見越してある。 刀傷は想定外だったが、能力(ちから)の使い過ぎは考慮していた。 「刀で斬られてるんだぞ!」 慌てた祥吾が体を起こそうとする。 「大丈夫ですよ…死にませんから」 主要な血管さえ修復されれば出血は止まるし、動ければどうとでもなる。 一刻でも早く戻らなければ… 「死なないって、お前…洒落にならんだろ」 立ち上がって見せると祥吾が呆れたように息をついた。
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