第7章 陽だまりの天使たち

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【 伏兵 】 「あー、重て…」 2階の踊り場で、ぼやきながら和希が葵を下ろす。 階段を上りながら背中に扉を叩く音を聞いた。 金属製の扉はやけに派手な音を響かせ、恐怖を煽る。 「防火扉閉めっから、ちょい待ちで」 ゼェゼェと肩で大きく息をして和希は壁に手をつく。 「和希くん、ありがとね…」 その背中に葵は声をかけた。 「そーいうの後で言って。あんた重過ぎて、なんかオレ、もう挫けそ…」 「なっ…何それっ、そんなに重くないよ!」 「ゼッテー標準体重こえてんだろ…って、アレ?」 防火扉に手をかけて和希が首を傾げた。 「なんだコレ、動かねー」 和希の背中を眺めながら、葵は和希の言葉を思い出す。 『あんたを守るんだよ!!』 あれは嘘ではないだろう… 暁華とまだ繋がりがあるとわかる前は、迷いなく信じられたのに、疑念が晴れない。 だけど今、確実に守られている。 息を切らせ、汗を流し、必死になる姿が本当だと信じたい。 「…なぁ?おいっ」 突然肩を掴まれ、和希に覗きこまれた。 和希の顔が至近距離にあり、葵は慌てる。 「防火扉、解除のやり方知ってるか?って聞いてるんだよ」     
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