第2章 覚醒と恋煩い

4/48
前へ
/298ページ
次へ
「彼女はこれからなんだよ。これから知ることになる、嫌でもね」 「覚醒したの…?」 満琉は瞳を伏せる。 「一度目を覚ましてまた眠ったらしいから、たぶんそうだろうな」 「イヤになっちゃう…もうほんと入る隙すらなくなるじゃない」 ふふふ、と寂しく笑う満琉の顔を眺めて祥吾が首を傾げた。 「入る隙、ちょっとでもあると思ってたのか?」 「何よ、それ。架南が側にいなきゃ、あるかもでしょう?」 満琉がむっと頬を膨らませる。 「第一、世間体的には18と28っておかしいじゃない…」 祥吾がとたんに吹き出して笑い出す。 「いやいや、18と25もないだろ!てか、大して変わらないぞ」 「だけど5年前は二十歳よ!出会ったのは18と20で妥当でしょう?」 「まぁな、要は生粋の18じゃないわけだしな…見た目がそうってだけでさ」 「そうだけど…」 満琉はぶつぶつ言いながら、サンドウィッチを仕上げる。 祥吾はそれをヒョイっと手にとった。 「何にせよ、彼女にとって一番認識したくない事実をお前がつきつけ、結果急激な覚醒に苦しんでいる訳だから、要はそーとー怒ってるんだな」 言い終わるなりパクパクと三口で全部頬張り食べてしまう。 そしてまた手を伸ばすが、その手をピシャリと満琉に叩かれる。 「…だから、持って行って」 サンドウィッチを乗せたお皿を祥吾に差し出す。 「その間に貴方の分を用意しとくから」 「へいへい…」 皿を受け取り祥吾は笑う。 「反省してるって伝えとくよ」
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

221人が本棚に入れています
本棚に追加