序章 出会い

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前世って、何だろう? そりゃあ耳にしたことはあるし ぼんやりとどんなものかはわかる。 年齢を聞いたあとの問いが 「前世を信じるか」だなんて 占い師か宗教か… 通勤電車を待ちながら つらつらと考える。 あの日「いいえ」と答え、逃げるように店を出た。 宗教の勧誘あたりで手を打って考えるのをやめてもいいのに、粘りつくように「前世」と言うフレーズが頭の中に居座り、離れない。 今の自分になる前はどんな人間だったのか… いや、そもそも人間?? 犬やネズミや、ダンゴムシかも。 向かい側のホームで餌を探してる鳩だって 来世は人間かもしれない。 魂は巡る 輪廻、転生、前世、現世、来世… 今をひたすら生きていると、考えもしない世界。 途方もなさすぎて、想像すらできない。 だけれど、雨の日に感じるあの孤独感 知らない誰かが過ぎる、あの瞬間 説明のできないそんな気持ちを知っている。 そう言うことなのだろうか? 前世を追えば、知らない誰かがわかる?
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