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【 憔悴 】
あの時、血相を変えた満琉が呼びに来て、部屋に駆け込むとソファにぐったりと横たわる葵がいた。
息が荒く、顔面蒼白、脈拍が弱くショック状態に陥っていた。
部屋に運ぼうと抱えあげると、体が震えて冷たかった。
要は洗面器の水を取り換えながら、溜め息をつく。
思っていた以上に見守るのは辛い。
覚醒が始まり、40℃の発熱に浮かされながら夢を見ている。
引き金が引き金なだけに、きっと辛い夢を見ている。
蛇口から洗面器に落ちる水を見つめていると、背後に人の気配を感じた。
振り返ると、ニヤニヤした顔の祥吾がいた。
「思いつめた顔しちゃって…」
ローテーブルにサンドウィッチが乗った皿を置き、床に座り込む。
「そう思うならご配慮頂きたいですね」
要はサンドウィッチを見やり更に深い溜め息をつく。
「そんな顔すんなって、まぁアレだ…こうなることを狙ってやった訳じゃないしな」
煙草を取り出しながら祥吾はあぐらをかく。
「お前が怒るのもわかるけどなぁ」
取り出した煙草のフィルター部をトントンとテーブルに打ちつけながら、祥吾はわざとらしく「うんうん」と頷いて見せる。
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