第2章 覚醒と恋煩い

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「でもな、俺や満琉の気持ちも察してだな」 「祥吾さん」 祥吾の言葉に割り込んで要は冷ややかな視線を送る。 「この部屋で煙草はやめてください」 要に言われ、祥吾は舌打ちをしながら煙草を戻した。 「そして出て行ってくださいね」 「容赦ないな、お前!」 「精神的余裕がないので祥吾さんの相手ができないんです」 「しかも何気に上から目線かよ…」 拗ねたような顔で祥吾はサンドウィッチに手を伸ばす。 「お前も架南も昔っから、お互いさえいりゃいいって感じだったもんな。他はどうでもいいって見もしない」 祥吾の言わんとしていることは良くわかる。 もっとうまくやれれば、いいのかもしれない。 だけど、あの頃は本当に彼女がいれば他に何もいらなかった。 「俺はともかく、満琉の気持ちだけは汲んでやれよ」 満琉の前世、天音(あまね)は物静かで控え目な少女だった。 気持ちをぶつけることもなければ、声をかけてくることすらない。 許婚と言う立場も、義務と受け止め、他意があるようには見えなかったのだ。 満琉に会うまで、何もわからずにいた。 全く見ようとしていなかったから… 「…今は大事な姉です。ないがしろにするつもりはありませんよ」 洗面器に浸したタオルを絞り、寝室に戻ろうとした時だった。     
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