第2章 覚醒と恋煩い

12/48
前へ
/298ページ
次へ
「…要くん、そんな風に笑うの初めて見たなって」 そう言うと葵も小さく笑う。 顔の赤みはひいて、いつもの葵に戻っている。 要は葵の体を支え立ち上がらせると、ベットへと座らせる。 「葵さん、もう少し休んでください」 少し立ち上がっただけでフラついていた。 我には返っても体が受けたダメージがあるのだろう。 頷く葵を寝かせ、布団をかけるとまた少し頬が赤らめた。 「お勤め先には祥吾さんが叔父を語り連絡を入れています。例の件で一部建て替えとなるそうで、数日お休みしても支障ない、とのことでした」 「ありがとうございます…そんなことまですみません」 ベットに腰かけ見下ろすと葵が布団に顔を半分隠す。 「それと、提案なのですが…」 伝えたいことがたくさんあるが、まずは身の安全の確保。 「あと数日、ここに泊まりませんか?」 「え…?こ、ここ?!」 「はい。二、三日ほど」 「でもここって、要くんの部屋じゃ…」 「そうです」 分かりやすく戸惑って葵は考えこむ。 「あ、でも…え?お泊りとか…なんで?でもでも…」 その戸惑いぶりが面白くて要は失笑する。 「大丈夫です。とって食ったりしませんよ」 「とって食っ…」 真っ赤になって葵は言葉を詰まらせる。     
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

221人が本棚に入れています
本棚に追加