ヒトリ

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指先が少し触れた手を彼がギュッと握れてくれた。 「また、来ます。」 その言葉を残して清一さんは、その場を立ち去っていった。 初めて、寂しいと思ってしまった。 暗い暗い蔵の中。 私は、ヒトリ。 標本の蝶。 少し触れた貴方の手。 耳に残る貴方の声。 外を知らない私。 外を知っている貴方。 多くはいらない。 また、此処で貴方の声を聞きたい。 飛べない私は、 ただ、ただ、 貴方を待っています。
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