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ふと外を見れば、今日は快晴。
肌寒いけど、いい天気だ。
雲がないなんて知らなかった。
あ。
空を見上げたの、久しぶりな気がする。
空は綺麗で。
周りには色んな人がいて。
当たり前だけど、私のことを知る人なんかごく一部しかいなくて。いや、ごく一部と言えないほど少ないかも。
それぞれみんな、いろんな背景の元に生きてる。
自分以外の誰1人、その全てを知る人なんかいない。
なんてこと、考えてみたり。
そう思うと、少し不思議な気分だ。
こんなことを考えてしまうのは、待ち時間にすることがないせいだろう。
うん。
たまにはこんなことを考えるのも、こんな気分になるのも、悪くない。
かも。
毎日スマホを忘れるのは困るけど。
「遅くなってごめん!!」
私のそんな考えを、吹き飛ばしてしまいそうな明るい声。
目の前には、待ち合わせ相手。
「あぁ、全然いいよ。久しぶり。」
「ほんとね! 変わってないねー。あ、メッセージ見た?」
「あ、ごめん。私今日、スマホ忘れちゃって。」
「あ、そーなん? 既読にならないから珍しいとは思ってたけど。不便だね。暇だったでしょ。」
「んー。確かにね。不便ではあったけど。まぁ、たまにはいいかも。」
「え? そうなの? 」
「うん。たぶん。」
「なにそれ。」
私が彼と、2歳からの幼馴染だということも。
彼が県外の大学に通っていることも。
今日が1年ぶりの再会なことも。
私が今日の帰りに、彼に告白しようと思っていることも。
きっと、私以外誰も、知らないんだろうな。
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