なくてもたまにはいいかな。毎日は困るけど。

2/6
前へ
/6ページ
次へ
あっ。スマホ忘れた。 そう思ったところで、もう遅い。 既に最寄り駅の改札を通ってしまった。 電車が来るまであと2分。これに乗らなければ、待ち合わせに遅れてしまう。 家までは歩いて12分。戻る時間も気力も持ち合わせてない。 期待を込めてバッグの中やコートのポケットを探る。やっぱりない。 充電器につなげておいたスマホが、はっきり思い出せる。 これで忘れたことが確定した。間違いない。 元々、何かを待つことは嫌いじゃない。 電車が来るまでの時間。 電車が駅に着くまでの時間。 友達が来るまでの時間。 でもそれは、スマホがあってこそだ。 SNSの確認や、ネットサーフィン、動画視聴、アプリでゲーム、勉強だってできる。 そんなことをやっているうちに、時間はあっという間に過ぎていく。 休日に1日やっていると、「時間を無駄にした」という虚無感が残ってしまうから、待ち時間が1番罪悪感なくスマホをいじれる時間だと思っている。 だけど忘れた。 電車がホームにつく。 電車が止まる時の耳をつんざく音も、スマホがあれば音楽を流して少し緩和できるのに。 なんて少し不便さを感じながら、電車に乗り込む。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加