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あっ。スマホ忘れた。
そう思ったところで、もう遅い。
既に最寄り駅の改札を通ってしまった。
電車が来るまであと2分。これに乗らなければ、待ち合わせに遅れてしまう。
家までは歩いて12分。戻る時間も気力も持ち合わせてない。
期待を込めてバッグの中やコートのポケットを探る。やっぱりない。
充電器につなげておいたスマホが、はっきり思い出せる。
これで忘れたことが確定した。間違いない。
元々、何かを待つことは嫌いじゃない。
電車が来るまでの時間。
電車が駅に着くまでの時間。
友達が来るまでの時間。
でもそれは、スマホがあってこそだ。
SNSの確認や、ネットサーフィン、動画視聴、アプリでゲーム、勉強だってできる。
そんなことをやっているうちに、時間はあっという間に過ぎていく。
休日に1日やっていると、「時間を無駄にした」という虚無感が残ってしまうから、待ち時間が1番罪悪感なくスマホをいじれる時間だと思っている。
だけど忘れた。
電車がホームにつく。
電車が止まる時の耳をつんざく音も、スマホがあれば音楽を流して少し緩和できるのに。
なんて少し不便さを感じながら、電車に乗り込む。
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