なくてもたまにはいいかな。毎日は困るけど。

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久しぶりー!という甲高い声。それと同時に、抱き合う女の子達。 声につられ、私もそっちの方を見てしまう。 声を出した女の子2人を、少し怪訝そうな顔で見る、同じような格好をしたサラリーマン2人。 サラリーマンを追い越し、大きなスーツケースをガラガラ引きずって、颯爽と歩く女の人。 女の子が男の子の肩を小突きながら笑う、高校生くらいの男女6人組。 6人組の後ろで、恋人繋ぎをしてゆっくり歩く、大学生くらいのカップル。 騒がしい。 けど、賑やかだ。 私が今、待ち合わせのためにここに来たって、周りの人は知らないし、今日スマホを忘れたことなんて、知るはずもない。 私も、今周りにいる人が、今日なんでここにいるのか知らない。 あの抱き合ってた女の子達は、小学校振りの再会かもしれない。 あのサラリーマン達は、家族のために休日も働いてたのかも。 スーツケースを引いていた女の人は、遠距離中の彼氏に会いに行くのかもしれない。 男女6人組は、輪の中にいる人だけがわかる恋の駆け引きがあるのかも。 あのカップルは、初恋がやっと叶ったのかもしれない。
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