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二人で笑ったあと、私は彼の肩にもたれ掛かってみる。
こうすると、きっと氷室さんは私の肩に手をまわして、抱き寄せてくれるだろう、と思った瞬間・・・・・
彼はスッと立ち上がり、隣からいなくなってしまった。
「え・・・・・。」
驚いてその行方を目で追うと、彼は一度寝室に入り、車で私を送るように着替えて、また戻ってきた。
残念だけれどそれならば、と帰り支度をしてバックを持ち、立ち上がる。
すると両肩に手をそっと置かれて、私は再びソファへ座らされた。
「えっ?どうしました?」
「・・・・・・・。」
私の正面にひざまづいた氷室さんは、ジャケットの内ポケットから小さな箱を取り出す。
「渡したいものがある。」
黒いベルベット地の、金の縁取りがある箱を開け、彼はそれを私の薬指に嵌める。
「氷室さん・・・これ・・・。」
それは、ダイヤモンドの婚約指輪だった。
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