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パーティー
結婚二次パーティーは、デパート近くのお洒落なレストランで行われた。
昼間の挙式と披露宴を終えて、ミカさんは幸せそう。エメラルドグリーンのふわりとしたドレスが、とても良く似合う。
外商に所属する旦那様は、体がガッチリして強そうだけど、時折ミカさんを見つめては愛しそうに目を細める。
その二人の空気が、私まで幸せにしてくれた。
パーティーには約80人の出席者。
その8割が外商男性社員で、圧倒された。
たしかにエリート集団と揶揄されるだけあり、どの社員もビシッとスーツを着こなして、髪はワックスで遊ばせ、私でも知っているブランドの腕時計をつけている。
あたりには、男性用香水が漂っていた。
「おーっ、壮観ですなぁ。
ギラギラ男子の集いってとこ?」
ナオミちゃんは気合いを入れ、紫色のパンツスーツできめている。
「ねぇ、ナオミちゃん。この香り、私は苦手・・・。」
「そう?高給取りの匂いがするじゃんか。クンクン。」
「外商部って独特の雰囲気があるのね。知らなかったな・・・。」
私はひとり会場の隅っこにあるソファへ腰掛け、違う世界の人達をながめる。
男性社員ばかりでなく素敵なドレスを来た女性もいて、立ち振舞いも笑顔も輝いて見えた。自信に満ちて、眩しいほど。
それに対して私ときたら、無理して少しヒールの高い靴を履いたために踵に痛みをおぼえ、こんなところにポツンといる。
はぁ、私って子ども・・・。
その時、鼻をかすめるせっけんの香り。
あ、この香りは・・・。
頭を上げて、ソファの前に立つその人を見た。
「白井係長・・・」
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