~プロローグ~

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なぜ人間の多くは群れるのだろうか。 幼稚園、小学校、中学校、高校、今まで俺が過ごして来た過程でほとんどの人は孤独を好まず群れることを好んだ。 群れで行動するということは必然的に友達が増える、友達を作れる、ということになる。 交友関係を目的として群れに入ろうとする人も少なくないだろう。 交友関係とは実に良いものだ。 学生なら、一緒に外でスポーツをしたり家でゲームをしたり、毎日の楽しみを友人と共有することでより楽しくなるに違いない。 しかし、その群れの中にあるものは果たして本物の友情なのだろうか。 俺には本物とは言えないものに見えてならない。 本物に決まっていると反論する人もいるだろう。 だが、ここで1つ想像してもらいたい。 群れの中で日々暮らしているとたまにこんなことはないだろうか。 「昨日テレビに出てたあの新人芸能人のネタめっちゃ面白かったよね!」 「だよねだよね!いやーあのネタはマジで笑ったわー」 きみの数人の友人が口を揃えて、昨日テレビ番組に出演していた新人芸能人がすごく面白かったという話をしていたとしよう。 「お前もそう思うだろ?」 と聞かれたとき、きみはその芸能人がつまらないと感じていた場合なんと答えるだろうか。 少人数で話をしていた場合、 「いやいやいやいや!全く面白くなかったよ!」 と少し言いづらいにせよ言えることには言えるだろう。 だが、面白いと思っている友人が多くなれば多くなるほど言いづらくなるはずだ。 では、なぜ言いづらいのだろうか。 その答えは簡単だ。 群れの中で1人だけ違う思考の人がいると楽しさを共有したいはずが、そのたった1人のせいでそれまで共有していた楽しさを壊す恐れがあるからだ。 もしそんなことをしてみようものなら、空気が読めない奴などと思われるかもしれない。 しかしながら、十人十色。1人1人が違う個性、考えを持っていたところで何ら不思議ではない。不思議なのは違う考えを言葉にして表すだけで嫌な奴と思ってしまう方だ。 そんな些細なことで壊れてしまう友情とは本当の友情と呼べるのだろうか。 答えは否だ。 群れなんて、友情なんて所詮そんなものだ。 だから俺はそんな馬鹿らしいものは捨てた。
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