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ノイエ? の語彙力がいきなり乏しくなった。擬音だらけ、まるで小学生の戦いごっこのようだ。その言葉の稚拙さはさておき『魔法が使える』か、中には魅力的に思う人もいるだろう。しかし、
「魔法だろうが斬り合いだろうがそもそも喧嘩とか嫌いなんだよ。殺し合いとか論外」
平和な現実を棄てて争いだらけの異世界行き。それを喜んで受け入れられる奴がいるならよほどそいつは病んでいる。戦争、争いごと、そんなものになんの面白みがあるというんだ。理解不能だ。
「繰り返しになりますがね。あなたの異世界適性は最高ランクです。この世界の言葉で言えば『天職』ってやつなんですよ?」
今度は『適正』と来た。馬鹿馬鹿しい。
「向き不向きとか適正とか、そりゃ努力次第だろ」
「でもでも――」
迷惑極まりないことにこの問答は学校に着くまで続いた。
?
「うーっす」
学校が始まる前だが既にうるさいちんちくりんとの問答でひどく疲れた。校門に立つジャージ姿の体育教師に元気のない挨拶をする。そうして俺は下駄箱へ――
「おう宮本、お前教室行く前に職員室に寄ってけ。佐々木先生が待ってたぞ」
「はい?」
佐々木先生と言うのは俺のクラスの担任。朝っぱらから呼び出しかよ。俺なんか悪いことしたっけ? 成績も素行もいたって普通の俺が怒られるようなことがあるのか? 褒められるようなことは無いにしても――いや、思い出したぞ。
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