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怒られるようなこと。確かに1つあった。
「進路希望調査出していないの宮本だけだぞ」
「すんません忘れました」
そうだこれだ。すっかりさっぱり忘れてた。
高校2年宮本カズマ
成績は平均程度
全国模試偏差値は52くらい(直近だと)
帰宅部。他課外活動は何もしてない。
「宮元……自分のことだぞ? もう少し真剣に考えろよ」
「なんか……あんまピンとこなくって」
「将来やりたいこととかないのか?」
やりたいこと……やりたいこと?
んなこと言われてもなぁ――
中学校の頃、プロ野球選手と当時人気だった野球漫画に憧れて野球部に入った。
どこにでもあるような、誰でも一度は口にしたような理由だ。
もちろん練習はきつかった。毎日朝練があって、放課後も日が落ちるまで練習。
部の仲間たちと苦楽を共にし、時に笑い時に厳しい言葉をかけ、時に励まし合う。
そんな辛くてきつくて充実した日々を積み重ねた。
そんな俺たちが中3の夏、中学3年間の集大成として残した結果は『地区大会1回戦敗退』だった。
「相手が悪いよ。全国大会常連だろ?」
「相手投手の変化球見たか? あんなん打てないって」
「やっぱレベルが違うな……」
後輩たちは仕方なかったと言うが、そんなのは何の慰みにもならなかった。
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