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だって相手のスタメンは全員『2軍』だったのだから。俺たちは相手に舐められた挙句ぼろ負けしたということだ。悔しいを通り越して『屈辱』を味わった。味わされた。
「やりたいこと……分かんないです」
野球なんてもうやりたくない。あんな思いをするのはもう嫌だ。
じゃあ『その代わり』ってなんだ? それに値するものなんてあるのか? それと同じだけの価値を持つものってなんだ?
分からない。分からない。分からない。
「お前なぁ! 自分のことだぞ!? それともどうでもいいってか!?」
「どうでも、良くないです」
「だったらよ――」
説教は終わらない。進路希望調査を出していない俺が悪いのは分かる。すげぇ分かる。だから怒られているのは良いとしても、いくらなんでも職員室のど真ん中でやんじゃねぇよ。
恥ずかし過ぎる。まるで晒し物だ。公開処刑だ。
どうせやるなら生徒指導室とか誰もいない廊下でやれよ。
最悪だ。朝っぱらからツイてねぇ。全く持って運がねぇ。
「大変でしたねー勇者様」
とりあえず『明日必ず持ってきます』と適当に答えて職員室での公開処刑を逃れた。これで明日も忘れたらきっと――
「お分かりになられたでしょう? やっぱり勇者様は異世界向きなのです。そうと分かればいざ異世界へ――」
「いかねぇよ」
「即答!?」
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