異世界? いかねぇよ。_第2稿

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ただでさえ、この訳の分からないちんちくりんに朝からギャンギャン騒がれて、訳わかんない勧誘をしつこいくらいに食らわされ憂鬱だって言うのに。なぁ、俺なんか悪いことした? 「今からでも遅くないですから――」 「いかねぇよ」 「また即答!?」 何度目だよ? この問答は。 「……授業中に騒いだらマジで殴るからな」 「ではでは、授業中静かにしたら異世界に――」 「いかねぇよ」 「またまた即答!?」 ……うるせぇなぁ。 ? 授業が終わって放課後になってもノイエからの勧誘は続く。幸い授業中はノイエは『業務報告がありますから――』と訳の分からないことを言っておとなしくしてたから少しは気が安らいだ。 あと、今になって気付いたことだがノイエの姿は俺にしか見えていないらしい。道理でこのちんちくりんがどれだけギャーギャー騒いでも周りが驚きもしなかったわけだ。 酷いご都合主義。むしろこいつの姿が誰にでも見えて、保健所かどっかの研究所が生体サンプルとして回収してくれていればどれほど楽だろう。 「お疲れ様です。勇者様」 「授業中ちょくちょく寝てたからさほど疲れてねぇ」 「さすが勇者様! ナイスタフです!」 ナイスタフ? 寝てただけなんだが…… 「褒めても異世界にはいかねぇからな」 「ちぃっ」 あらかじめ釘をさしておく。こいつのことだ。きっかけがあればすぐに『いくぜ異世界』と勧誘してくる。     
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