ただ君の笑顔が見たくて

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翔は時折お母さんの事を話した。 「あのババア」と機嫌が悪い時に言ったのを聞いた事がある。男の子だからお母さんに対して反発する事はあるだろうくらいにしか思わなかった。 そして、自分の親の悪口を他人から言われるのは嫌な事くらい知っている私は彼の話しを黙って聞いていた。 ようやく翔が会おうと言ってくれた日、私は彼の喜びそうなものを買った。バスを降り、重いカバンを抱え急な坂道を上ったところにある翔の家まで歩く。 「坂道を上がれば翔が待っている、今日こそ彼の笑顔が見られるかもしれない!」そう思うだけで、急な坂道を上れるような気がした。 「待ってるよ」と言った翔の冷たい口調の一言だけを信じていた…あの日。
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