ただ君の笑顔が見たくて

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いつも母親の悪口を言う翔に「じゃあ、親離れして独立しなさいよ!」と言いたかったが、言えばどうなるかわかっていた。 怒って電話もとらなくなるだろうと。 確かに翔は頭が良くて魅力的なところがあったから私はなかなか彼から離れられなかった。必死で彼にしがみついている自分が惨めだった。 そんな時、「俺な、うつ病なんだ」と言った。私はインターネットでうつ病を検索して読んだ。本当に翔にピッタリ当てはまっていた。 「そうだったのか!そう思えば許せるし愛し続けることができる」 しかし、それは私の妄想に過ぎなかった。 彼から別れを切り出されたのだ。「僕は君に対して責任をとれない」という理由だった。「もちろんそうでしょうね!自分だけでもやっとなんだから。しかも母親にベッタリと寄生虫のように食い付いているのは翔なんだから!」と私が言ったと思いますか? そんな事は言えなかった。私は最後まで我慢して理解ある女性を演じたのだった。 そして「裏切られて泣き叫べ!」と翔は言った。私の事を「僕を愛した人」と呼んだ。 本当に私は彼を愛していたのだろうか? いえ、それはそれで彼の妄想だとは言えなかった。ただ母親以外に自分が愛されたと思っているなら、それでもいいと思った…あの日。
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