11人が本棚に入れています
本棚に追加
あるいはわざとはぐらかしたのか……まずは、お仕事をしようと思いました。少し、落ち着いてからきちんとお話を伺いましょう。
元のデザインは画集から選び、それに少し手を加えました。
襟を大きくして、スカートの丈はミモレ丈にし、膝のあたりで少しすぼめて僅かにマーメイドラインにしました。
採寸に入ります。
やはり彼女は何かを語ろうとはしません、自ら言葉を発することは無く、私が話しかければ答えが返ってくる程度です。
先日の同窓会の様子なども聞くのですが、多くは話してはくれませんでした。
こんなにも、無口な方だったでしょうか。
裄丈を測るのに首に触れると僅かに息を止めたのが判りました。くすぐったかったのでしょう。
肩口を沿わせて手首まで指を這わせますと、微かに体が震えました。メジャーの上からでしたが、嫌な感じがするのかもしれません。
相手は女性です、しかもブランクがあるとは言え長いお付き合いの……少々配慮が足りませんでした。
「あの。スリーサイズは口頭でも」
「ううん……測っていいよ。きちんとしたもの作ってほしい」
安くはないお買い物です、その通りです。
「承知しました、失礼いたします」
背後から脇の下を通して手を入れさせていただきました、胸のトップの位置に合わせてバストサイズを測ります。
最初のコメントを投稿しよう!