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葬儀の日は、朝から雨だった。
夜更けには豪雨となり、会葬客の見送りを終え家に入って来たずぶ濡れになった恵美子叔母は厚化粧が崩れ、地獄からの使者のようだった事を、滉も楊もはっきりと覚えている。
叔母はやはり、地獄の住人に間違いはなかったようだ。
恐らく、あの言葉が全てを壊したのだ。
『あの娘の父親は、義兄さんよ。つまり、あの娘の母親は、あなた達の父親を誑かして子供作って。姉さんを貶めたの。可哀想な姉さんは、そのせいでおかしくなったの。つまりね、この家を滅茶苦茶にしたのは、あの母娘なの！ あなた達の憎むべき相手は、分かるでしょう！』
間違いなく、香月の家を滅茶苦茶にしたのは、恵美子叔母本人だ。
実母を貶めた相手を憎むような感情など、とっくの昔に消えていた。
自分達兄弟が受けたショックは、別のところにあったのだ。
美夕は、血の繋がった妹だった。
例え片方であったとしても、父が同じであれば実の兄妹という事になる。
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