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先生の前の態度と全く違う井上瑠璃がそこにいた。
「瑠璃、どうする?」
「消臭スプレーかけちゃえば?」
「それいいね。 あゆみやれ」
井上瑠璃と下谷美紗都が、山口あゆみに命令した。
山口あゆみは困った顔をしながらも、机の中から脇用の消臭スプレーを取り出して僕にかけてきた。
「瑠璃ちゃん、これでいい?」
「ちょっとマシになったかな」
瑠璃が答えると、男子がゲラゲラ笑っている。 わざと僕から目をそらす子、僕を気持ち悪そうな目で見る子、誰も僕を助けてくれなかった。
この日から、僕は瑠璃のいじめの標的になった。
「気持ち悪い、近寄らないで」
体育の時間、先生がいる時は普通に接してくれるのに、先生がいなくなった途端、手でしっしと僕を遠ざける。
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