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木下さんはポケットからカッターナイフを取り出し、私の目の前に出してきた。
「や……やめて……言う事聞くから……やめて」
身体の震えが止まらない。
木下さんは本気だ、狂っている。
死にたくない、死にたくない、何でもするから殺さないで……
木下さんはナイフをポケットにしまい、私の顎を右手で持ち上げた。
「くくくっ、誓いのキスだ」
そう言うと、私の口の中に唾を流し込む。
逆らえば殺される、その恐怖で身体は硬直して動かない。
「お前、和田圭介を覚えているか?」
木下さんは私から唇を離すと、私を見ながら聞いた。
和田圭介、和田圭介?
覚えがある名前に過去の記憶を遡った。
「のろま!
クラス対抗リレー負けたのはお前のせいだ。
あゆみ、和田のズボンを下ろしちゃいな」
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