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「ジェームダルの人、か。話、聞いてる。君たちの能力についてはこれから査定するから、働いてね。あぁ、でも怪我とか見たくないから頑張って。俺、血とか見ると倒れるから」
「……はぁ」
「疲れた。今日は喋りすぎた。ねぇ、医務室連れて行って。点滴打ってもらうから」
なんて言えばいいんだろう、この感じ。ここに来て騎士団が心配になったチェルルだった。
その後、第五師団へも顔を出した。旅ですっかり慣れたレイバンやドゥーガルドは普通に迎えてくれたし、帰りの船で同行したグリフィスも機嫌良く迎えてくれた。
なんというか、グリフィスといるのはとても馴染みがいい。それというのもダンがこのタイプなんだ。豪快で面倒見が良くて後腐れがない。頼れる兄貴である。
「そっか、マーロウと会ったか」
馬の手入れをしながら話すグリフィスを手伝うチェルルとハクイン、リオガンに、グリフィスは苦笑する。その表情が全部な気がする。
「癖が強いだろ、あれ」
「あの人、騎士団でいいんだよね?」
ハクインが思いきり失礼な事を言うが、これに誰もが「失礼だ」とは言わなかった。言えなかったのだろうけれど。
「まぁ、引きこもりの病弱野郎だがな。あぁ、守ってやってくれよ。あいつ、剣持った事もないからな」
「それで騎士団務まるの!」
ハクインの驚愕は当然で、グリフィスも軽く笑っている。
「あいつの武器は武じゃないからな」
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