幼い記憶と迫る脅威(リオガン)

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幼い記憶と迫る脅威(リオガン)

 案内された部屋で、ハクインは落ち着いていた。  体も髪も綺麗にされて、真新しい白い服を着て眠っている。  側にはあの医者みたいな男がいて、第四と一緒にあれこれ手配をしていた。 「リオガン、落ち着いたよ」  声をかけられて、側に椅子を用意されて、そこに座った。  顔色は悪かったけれど、変な息をしていない。規則的に上下している。 「そこの人が助けてくれたんだよ」  そう言われて前に出て来たのは、簀巻きになっていた男だ。  彼は丁寧に頭を下げたまま、震えていた。  許せなかったけれど、同時に恩人になった。こいつが薬なんて作らなければ良かったけれど、この人がいなかったらハクインの治療は簡単じゃなかったんだ。 「ここの医者で、薬の開発を強要されていたみたいなんだ。でもこれまでの実験結果や使用薬剤の名前も全部覚えていて、必要な医薬品も全部揃えてくれていた。おかげで重篤な状態になる前に持ち直したよ」 「本当に、すまなかった」  多分、五〇代だろう。白髪が混じっている。 「どう、して?」 「……十三になる孫が、人質になっています。探してくれたそうですが、どこにもおりません」     
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