アカシック・レコード

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アカシック・レコードの話には、面食らったものの、御津という人物をよく知ることができた。 『一冊の本のせいで』という言葉の謎はまだ解けないが、十勝は、稲敷に話を聞けて良かったと思った。 カフェテリアを出るまでの道道、十勝はふと思ったことを、稲敷に話しかけてみた。 「もしアカシック・レコードがあったら、稲敷さんは行ってみたいですか」 「ええ、それは、もちろん」 「御津さんも… 信じていた、ということは、行きたかったのでしょうか」 そうですね、と稲敷は答えた。 「確かに。御津さんには、何かどうしても知りたいことがあったのかもしれません。あの人の記憶力を持ってしても、解決できない問題ということは、この世界に、まだ存在しない知識だったのかもしれないですね」
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