司書の証言

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十勝は食後のコーヒーを飲みながら、書斎でパソコンに向かうと、アカシック・レコードについて検索してみた。 瞑想、夢日記、スピリチュアル… 色んな情報が出てきた。 結局よく分からず、パソコンを閉じる。 御津の言う『一冊の本』とは、アカシック・レコードの蔵書なのだろうか。 仮にそうだとして、何故命を落とすことになってしまったのだろう。 そんなことを思い巡らせながら、ゆっくり眠りに落ちていった。 十勝は立っていた。 赤茶の絨毯の上、周りはたくさんの本で埋め尽くされている。 「ここはどこだ」 思わず呟いた。 先程まで自分は、パジャマに着替えて、布団の中にいたはずだ。 それなのに今は、スーツに身を包み、図書館のような場所にいる。 ふと気配を感じ、振り向くと、若い細身の青年が立っていた。中性的な顔立ちで、黒い髪に、黒い瞳。 十勝のものより、少し洒落たスーツに身を包み、細い金縁フレームの眼鏡をかけていた。 「十勝様。ようこそ、アカシック・レコードへ」 青年の言葉に、絶句する。
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