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「これは夢か?」
「アカシック・レコードは、現実と夢の狭間、意識と無意識の中間、そのような場所にございます」
「きみは… 誰だ」
「私は司書でございます。
アカシック・レコードは膨大かつ、高度な知識の保管庫です。中には人間が読むと、発狂する恐れがある本もございます。
しかしご安心ください。うっかり読んでしまわれないよう、私が案内させて頂きます」
サラリと怖いことを言って、司書はニコリと笑った。
「十勝様、本日は、どのような知識をお探しで?」
案内する司書について行きながら、ああ、と十勝は相槌を打つ。
「なあ… 例えば、ある人物の人生なんかも、ここで分かるのか?」
「もちろんでございます」
「それなら、一昨日の夜に亡くなった、御津という男性の死因について知りたい」
その言葉に、司書は残念そうな顔を浮かべる。
「申し訳ございません。他人の人生に関する情報については、個人情報の観点から、お断りしております」
「…やけに、現実的なんだな」
「それに、お言葉ですが、それができたら警察は要らないのでは?」
司書の言うことはもっともで、十勝はぐうの音も出ない。
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