司書の証言

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「しかし、一つお答え致しましょう。御津様は、こちらへいらっしゃいました」 「本当か!」 叫ぶ十勝に、司書は人差し指を口元に当て、お静かに、の仕草をした。 「御津さんは、どんな本を借りていった?」 「それについても、個人情報の観点からお答えできかねますが… アカシック・レコードでは、蔵書の貸し出しは行なっておりません。閲覧のみです」 司書の言葉を聞いて、ハッとする。 「もし… 本を持ち出したり、コピーしたら、どうなるんだ?」 御津は、瞬間記憶能力を持っていた。 一度見た情報は忘れない。 それゆえに御津は就職活動でも、秘匿性の高い情報を持つメーカーから、倦厭されていた。 司書は、怪しげな笑みを浮かべ、こちらを見ている。 それに気付きましたか、とでも言うように。 「それはもちろん、」 「どうなる」 冷たい汗が、十勝の首筋を伝う。 「持ち出しには罰則がございます。 またコピー、書き写しについても、持ち出しとみなし、」 司書の言葉が、静謐な書架に響いた。 「処分させて頂きます」
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