司書の証言

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十勝は、飛び跳ねるように起きた。 冷や汗で、体がぐっしょり濡れていた。 「なんてことだ」 まだ心臓がバクバク言っている。 今のは、ただの夢なのだろうか? しかし妙にリアルで、十勝は、自分の想像力を超えた場所であった気がした。つまり、本物であったと。 それを認めるとすれば、御津の死因は、事故では無かった、ということになる。 持ち出し禁止であるアカシック・レコードの蔵書を、あまりにも完璧に記憶してしまったがために、"処分"されてしまったのだ。 だが。 誰が、そんなことを信じる? アカシック・レコードの存在は、科学ではなく、オカルトの分野だ。 あの司書も、人間ではないのだろう。 そんな殺人事件を、立証できるわけがない。
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