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「それで考えたんですが。
誰かが、御津さんを事故に見せかけて、河川敷へ突き落としたのではないかと。
そして、虫の息だった御津さんは、発信履歴にあった研究室に、リダイヤルをした。しかしそれに気付かれ、通話を切られてしまったのです」
「そんな話を… 何故私にするんです」
「板垣教授。あなたの指紋を、採取させて頂けませんか?」
板垣の足が止まった。
「何故でしょう」
「実は、御津さんの携帯電話から、第三者の指紋が検出されました。それと照合したいのです」
板垣は、呆れたように笑うと、十勝に言った。
「構いませんが、私の指紋は、御津の携帯から出ると思いますよ。彼の携帯を借りることが、時々ありましたからね」
「なるほど。御津さんの、最期の電話の後にも、ですか」
は?と、板垣は、困惑の表情を浮かべた。
「教授。指紋というものは、付いた順番まで分かるのですよ。
そして、その第三者の指紋は、御津さんのリダイヤルより後、つまり、一番最後に付けられた指紋なのです」
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