事件の真相

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「待ってください。刑事さんは、その第三者が私だと、仰りたいのですよね。 でも何故私が、御津を、殺めなければならないのです?」 十勝は、一冊の本を取り出した。 「これでしょう」 「…!」 「あなたが執筆して、御津さんも編纂に携わった、先日発売されたばかりの本だ。 テキストデータを検索にかけてみましたが、ネット上のある論文と、本の内容のかなりの部分が一致しました。つまり、論文盗用です」 板垣の表情が、強張った。 「論文を書いたのは、他大学のある学生です。もしかしたら書いた本人も、盗用に気付かないかもしれません。 でも、御津さんは気付いた。彼は、一度読んだ論文は、忘れないから」 板垣は拳を握りしめ、少し震えたかと思うと、人が変わったように叫んだ。 「あいつは、頭が固すぎるんだ! 学生は、単位だの、卒業だのにしか関心が無い。この結果の価値が分からんだろう。それを私が、再利用してやっただけだ。 なのに、出版間近になって、御津がそれに気付いてしまった!」 連行される板垣を見て、十勝は思う。 御津は真実を知ってしまった時、どんな気持ちになったのだろうか、と。
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