事件の真相

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そして自分は危うく、誤った答えを出しそうになった。 しかし、アカシック・レコードの司書が『処分』したいのは、その知識に関する記憶だけだ。 恐らく人外の力を持った彼が、わざわざ、殺人という陰惨なやり方をする理由は無かった。 帰りがけ、忘れずに花屋に寄った。 帰宅して、花束を妻に渡す。 「覚えていてくれたのね」 花瓶に水を注ぐ妻に、十勝はふと、依然解けない疑問を口にした。 「なあ…」 「何?」 「例えば、一度見たものは絶対忘れない、という便利な能力を持っていたとする。 それで、この世界の全ての知識が詰まった、何でもありの図書館があったとして、」 「なにそれ」 いいから、と十勝は続ける。 「もし、自分がそうで、そういう場所に行けたら、どんな本を選ぶんだろうな」 そうねえ、と、妻は花を活けながら答える。 「多分、」 「多分?」 「その便利な能力を、なくす方法が載ってる本を、探すんじゃないかしら」 一瞬、意味が分からなかったが、 「そうか…。 そうだったのかも、しれないな」 妙に納得する、自分がいた。
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