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「彼…御津は、学生の頃から優秀でしてね。少々、性格に問題はあったが、研究者は変わり者が多いことだし。
特段、怨まれる人物ではなかったかと思います」
「そうですか」
教授室の外には、学生の控え室があった。
「学生の皆さんにも、お話を伺ってよろしいですかね?」
板垣は、どうぞ、と隣の部屋を促した。
学生は、男子が二人に、女子が一人。
仲が良いらしく、矢継ぎ早に、御津についての情報を話してくれた。
「御津さんかー、俺、ちょっと苦手だったな。なんか、馬鹿にしてるっていうか」
「でもめっちゃ頭いいよ。一度読んだ本とか論文とか、忘れないんだって」
「それができない私たちには、ちょっといらついてる感じはあったよね。"瞬間記憶能力"っていうの、持ってたらしいです」
瞬間記憶能力…
「写真で撮ったみたいに、覚えられるっていうやつだったかな」
十勝の確認に、学生は、まあそんな感じです、と首肯した。
そんな人間が本当にいるんだなと、十勝は感心する。
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