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「あー、でも。その能力のせいで、少し悩んでたりしたみたいですよー」
ふと、その発言が気になった。
「というと?」
「御津さんは、本当はメーカーの研究開発に就職したかったみたいなんです。実際、あれほど頭良かったら余裕だったと思うんですけど」
「なんでも、面接で瞬間記憶能力持ってるのがばれると、片っ端から落とされたらしいです」
何でだと、思わず疑問の言葉を口にする。
「企業だって、優秀な人材は欲しいんじゃないか?」
「ところが。メーカーにおいて、発売前の製品情報というのは、極めて秘匿性の高い情報なんですよ。それをあっさり覚えられたら、社外秘の情報が、いわばコピーされたのと一緒じゃないですか?」
「まあ、その辺うまく隠せば、チート社員としてやっていけたと、俺は思うけど」
「そういうところでは真面目っていうか、要領の悪い人ではあったよな」
「なるほど…」
本当に、この学生たちは、よく喋る。
使い込んだ手帳にメモを取りながら、十勝は心の中で感謝した。
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