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「それにしても、これは無いでしょう。抽象的というか」
「まあ、物は言い様ですよ。例えば、全ての事象に関する情報が納められている… と言ったら胡散臭いですけど、でもそれはインターネットのことですよね」
「いや、しかし未来は無理でしょう」
「何でです? 気象庁のスパコンは、毎日未来に関する予測を行なってるじゃないですか」
「まあ…」
十勝は二の句を継げず、黙った。
「と、まあ。正直僕たちも、今の刑事さんの反応と同じ認識ですよ。さすがに、全事象の記録と予測なんて、保管庫としても、予測するコンピュータとしても、ハイスペック過ぎて想像がつきません。
なので、冗談まじりに話していただけです」
「なんだ、そうですか」
「でも… 御津さんは、違いました。それがあると、思っていたようです」
意外だ、と十勝は思った。
真面目で、融通がきかない印象の御津は、そういう冗談を嫌うと思っていた。
「まあ、自身が似たような存在でしたからね。過去の経験や、集めた知識。一度見たものは忘れない。歩くデータバンクですよ。見える未来というものも、僕たち一般人とは違っていたのかもしれません」
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