白狐物語

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確か、あの小娘の名は、「波」といったな。 日本海を望む綺麗な景色のところに家はあった。 僕がいた稲荷神社はもうあと片もなく空き地とかしているが、毎年この時期になると何度も来てしまう。ここで待っていればまた会えると信じて。 家に行くほどの勇気はない。だって歓迎されなかった時が怖いから。 その時、あの美しい救済劇もそうでなくなる。 人間と違い長い人生。思い出が何よりも大切になる。 色濃く残る嫌な記憶は、何度も鮮明にリフレインされてしまうから。 逆に美しい思い出は、何度も僕を幸せにしてくれる。 雪が舞い散るこの季節、僕の心をその思い出が温めてくれる。 波、今一度会いたいものだ。
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