雪のように

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「君は、おうちで待ってられないの?それとも…俺に心配させたいの」 何度もさすってくれる手で、自分の冷えた体が分かる。 「まだ夜は寒いんだから…こんな所にいたらーー」 『風邪引いちゃうよ?』 「風邪引いちゃう?」 寿彦さんの手の中に口付けて、笑う。 「あぁ…そうだよ。だからーーうち来る?」 寿彦さんも乗っかって、あの時みたいに言ってくれる。 両腕を伸ばして、寿彦さんが降ってくるのを待ってる。 「行きます……ダメだって、言われても。ずっとあなたにーー」 〝ついて行きます〟 このキスに、誓います。 人の命が、 雪のように儚いものだとしても。 溶けて、なくなるまで、 あなたをずっと、想います。 それだけで、それこそが。 俺の、生きてる証。 寿彦さんと、生きてる証。 雪のように、儚く、綺麗に。
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