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どうかこの行いが、後々まで響きませんように......
「夏川君、待ってっ夏川君!」
ずんずん先を歩いて行ってしまう夏川君の腕を、必死で掴んだ。
「誤解しないであれはーー」
「何」
低い声。いつもと違う、夏川君。
「た...たまたま俺が転びそうになって、たまたま目の前にいたあっちゃんを掴んでーー」
「あ...っちゃん...?」
更に低い声。
「あぁいやそれは取手っ、取手だよ!取手がそう呼んでるからついっ。...取手だよ!あっちゃ...先生の事好きなのっ、俺じゃない!取手!」
一息で、取手が五回。
「分かってるだろ?俺が好きなのはーー」
「どうだか...」
「信じてよ...」
あっちゃんの件に関しては...嘘だけど。
「お前、口ばっかり...っ」
「......じゃあ」
これには俺も少々、言いたくなった。
「じゃあ...口以外の事、してもいいの?」
「え...」
「すればいいの?」
簡単だ。引き寄せて、抱き締める。
力ずくで。
「あ...っ」
「こうすればいいの?俺がしたいように。俺の意思で。夏川君の気持ちも考えずに」
抱き締めたいのは本当で、こうしてる今でも、もっと先に...進めたくなる。
けど、
「口にも出さない、夏川君が悪い」
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