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同意が得られなきゃ、手が出せないじゃないか。なら口で、言って説得するしか、ないじゃないか。
俺の中、震える夏川君に気づかない訳じゃない。知ってるけど、知ってるから。
「嫌なら振り払って?もう二度とーー追わないから」
追い詰めるような事を言った。
「……ズルいよ、お前……」
分かってる。分かってるけど......
答えが欲しい。認めて欲しい。
「俺がそれ...できないの知ってて、そういう事言う......」
分かってる。
「…そうだよ...?」
背中を撫でると、夏川君のおでこが俺の胸にトンと降りてきた。
「......嫌がらないの知ってて、こういう事する......」
だって、好きなんだから。仕方ない。
許されるならするまでだよ。
「夏川君が...悪いんだ...」
いつまでも〝好き〟って言わない癖に、俺を、どこまでも、
ーー独り占めしようとする。
「…...ふざけんな」
小さい声。微かに聞こえた。
「...振り払わなきゃいいんだろ...」
夏川君が、俺の背に腕を回した。
「え」
そうきたか。
「お前が言ったんじゃないか。だから俺はーー逃げない」
「......」
根本的な〝告白〟からは逃げてるんだけどなぁ、夏川君。
あ〝告白しなきゃもう口きいてあげないよ〟にすれば良かったか......なんて。
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