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分かってる。そんな無理矢理言わせた告白なんて、意味がない。
やっぱり、夏川君から言ってくれないと。
「俺、悪くない......」
ふてくされたようなその言い方が可愛かったので、なだめるように、頭を撫でた。
「あぁ、そうだね......ごめん」
夏川君は、強情だ。
いつだって、俺が......折れて、あげる。
「分かったよ......俺の負け。いいよ、それで」
今回は。
夏川君を解放してあげる。
「あーあ。いつになったら言ってくれるんだか」
下駄箱に歩き出した俺の背に、
「そ...そもそも、...お前が浮気すんのが悪いんだろ......」
「え?何?」
小さい声。聞こえなかった。
「なんでもないよ」
立ち止まる俺を追い抜いて、夏川君は行ってしまった。
「あぁ、待ってよ夏川君」
俺から、逃げないでくれただけでも良しとしよう。
とりあえず......今の所は。
まだまだ夏川君を追う毎日で。
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