6/6
前へ
/43ページ
次へ
分かってる。そんな無理矢理言わせた告白なんて、意味がない。 やっぱり、夏川君から言ってくれないと。 「俺、悪くない......」 ふてくされたようなその言い方が可愛かったので、なだめるように、頭を撫でた。 「あぁ、そうだね......ごめん」 夏川君は、強情だ。 いつだって、俺が......折れて、あげる。 「分かったよ......俺の負け。いいよ、それで」 今回は。 夏川君を解放してあげる。 「あーあ。いつになったら言ってくれるんだか」 下駄箱に歩き出した俺の背に、 「そ...そもそも、...お前が浮気すんのが悪いんだろ......」 「え?何?」 小さい声。聞こえなかった。 「なんでもないよ」 立ち止まる俺を追い抜いて、夏川君は行ってしまった。 「あぁ、待ってよ夏川君」 俺から、逃げないでくれただけでも良しとしよう。 とりあえず......今の所は。 まだまだ夏川君を追う毎日で。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加