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けどそれだけ。 声をかける訳でもないし、全くの他人のまま。 なのに、まさか。 まさか告白されるなんてーー夢にも、思ってなかった。 『まっ、待ってーーっ』 そういえば、あのキスされそうになったあの階段で......呼び止められたんだっけな。もうちょい下の、踊り場だったかな。 振り向いたら竜胆で、驚いた。 『り、竜胆...?』 この時すでに俺の脳内では皇を〝竜胆〟と勝手に呼んでいたので、口はそのままそうついて出た。 どこかから走って来たのか、竜胆はゼェゼェ息を切らしながら、 『あ...あの......っ、あの......』 自分の膝に置いていた両手でーー俺の手を握った。 『好きです......』 (え~~~~っ!!) 俺は一生分の〝え〟を吐き出したと思った、この時。脳内でだけど。 いくら考えても分からない。竜胆が俺を好きになった理由。 覚えてない。俺がまだ竜胆の顔を認識していない時だと思う。 俺が......何の時だっけ?とにかくつまづいて、竜胆に抱きついたんだと。それで、 『だ、大丈夫?』 心配してくれる竜胆に、 『あぁ...ごめん、...ありがとう』 ......と言ってから、しばらく竜胆が俺を離さなかったくらいで俺は、     
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