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夏川君は早足で俺の横の段まで来て、 「お前っ、俺の事……好きじゃなかったのかよっ!」 「え?」 何だろう、今回は。 「好きだよ?…言ったじゃん、前に」 「だから聞いてんだよ!何…?同じクラスの、何君?…とって君?」 「〝とりで〟?」 「そう!取手!……今日体育ん時、やたら……近かったじゃん……?」 拗ねたようにそっぽを向く夏川君が…あぁ、俺には一番。一番、可愛い。 「見てたの?」 「見てたんじゃねーよ!窓からちょっと…見えただけで……」 あぁ可愛い!揉みくちゃにしたい!のだけれどーーけれど、 「授業だからね、仕方ない」 あえて冷静な、俺を見せる。 妬いてるみたいな夏川君をずっと、見ていたいから。 「仕方ないじゃねーよ!お前っ、……そういう、つもりなの?」 「…え、どういう?」 「俺とアイツ……ふ、二股かける気…なの?」 え、そういう容疑、かけてんの? 「いや違うって!言っただろ?俺は夏川君だけだってーー」 「そうは見えなかった」 ぷーっと頬を膨らませる夏川君は、それはそれは可愛かったけど、誤解されたままじゃ、嫌なので。 「俺は…夏川君だけだよ?」 「…どうだか…」 「じゃあ…どうすればいい?」 夏川君が、納得するには。 夏川君は…少し、迷っているようで……     
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