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「キスでもすればいい?」
俺の方から提案した。
「!」
夏川君は…ビクッと体を震わせて、固まった。
何か色々考えてくれているみたい。
しばらく考えた末、
「……分かった…今回は…それで……許す」
「えっ」
俺の提案に、あろう事か、乗っかってくれた。
「え本当に?」
まさか了承してくれるとは。
「……お前が言ったんだろ……」
「…そうだけど。いいの?じゃあ……するよ?本当に」
「……」
夏川君は黙ってコクリと頷いた。
初めてだった。
俺が夏川君に告白してから、初めてのーー
キス……?
「おーぅい!皇~!」
これはヤバい。ますます夏川君を怒らせる……奴。
(取手、今は……)
明らかに、駄目だろ。
「探したよ~皇~。なんか先生がお前探してたから…って、えーーお邪魔??」
そうです。お邪魔です。
俺らはキス寸前の姿勢で、瞳だけ取手を見て…睨んで。
「…お前…」
ドンピシャ過ぎるタイミングに、まさか本当に俺らの仲を邪魔しにきてるんじゃないだろうかと…恨めしく思った。
「もういい!帰る!」
夏川君はプンスカ怒って、走っていってしまった。
「あぁ、夏川君…」
ここはすぐ追いかけるべきだとは思うけど……
一応用件だけは聞く。
「取手……何先?」
「…あっちゃん」
申し訳なさそうに言う取手。
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