40人が本棚に入れています
本棚に追加
2
「ごめん…やっぱ無理だった」
夏川君がいる前で、朝から俺に近づいてくる取手に……やっぱり夏川君は、不機嫌。
『クラスで決めた事をそうやって勝手に投げ出すもんじゃない』
あっちゃんに、言われたんだと。
新米丸出しの癖して、言う事だけは、一丁前だ。
「だと思った」
「あ?だったら最初から俺に頼むなよ!」
あっちゃんに怒られて、取手も今日は不機嫌。
「あっちゃん困らすなよ~お前の友達の俺まで心証悪くなんだろ~」
「けどそうなったらいいなぁって、ちょっとは思ったろ?お前も」
「それは…まぁ」
取手のこのバカが付くくらい正直な所が、俺は好きだ。…...なんて言ったら、夏川君に悪いな。
と思ったら案の定。
「…クラス帰る」
あぁまた仲良さげに見えたんだろうか。夏川君がそろそろと座っていた俺の前の席から立ち上がった。
「夏川君っ」
「へ…」
俺が急に右手首を掴んだから、夏川君は変な声を出した。
「また…帰りも来てね」
来ない事なんて、なかったけど。来なかったら、寂しいから。
「く…来るか、バーカ」
いつものように、俺の手を振り払った。
最初のコメントを投稿しよう!